top of page
1-1.png

2026年10月27日公開

汎座通信vol.1

Hyper-Editing Platform[AIDA]
シーズン3「日本語としるしのAIDA」
第1講「『日本語としるしのAIDA』を問う」
松岡正剛塾長ソロ講義

​

「『源氏物語』じゃないんですよ。源氏=物語なんです」

 

一時間半にわたる塾長講義の最後に持ち出されたこのフレーズ。「これが、今期の私からのみなさんへの問いかけです」と塾長は言うのですが、これは問いかけではなくて結論ではないのか。しかも衝撃的な。

1-2.png

「日本語としるしのAIDA」を問う松岡正剛

松岡塾長は「言葉とか言語が謎なんですよ」というところから話を始めます。エミール・シオランは「人は母国語に生きるのである」とまで言っている。では日本語とは何か。そこには文字を持っていなかった日本に漢字がやってくる、という難問もある。音読みと訓読み、ふたつの音を当てていく。漢字は文字自体がイメージ=しるしですが、そこに音のイメージが二重に重なる、という言語を作っていくわけです。それで歌を書き残し、歴史を書き残した。

 

そんな日本語がしるし的だ、ということを塾長は何度もいいます。言語であると同時に、サインであり、シンボルである。でもサインもシンボルもしるしも、「兆し」でもある。封印するようでいて半分開けることでコミュニケーションを成立させる。ビジュアルとリテラルがわけられない。アコースティックもわけられない。

 

そんな言語を扱うのは並大抵の力量ではできません。そこで小池清治著『日本語はいかにつくられたか』を持ち出します。

 

この本の中で、日本語を作った人として、太安万侶、紀貫之、藤原定家、本居宣長、夏目漱石、時枝誠記の6人が列挙されている。このひとりひとりについても塾長はコメントしますが、「でもね」と。

 

でも、それをひとりで引き受けた人がいる。それが紫式部だ、と。そして源氏物語だ、と。源氏という天皇でもなくしかし臣下でもない(天皇の実の父)主人公。紫式部自身が零落しつつある藤原貴族の娘なのですが、かつて謳歌していた時代の面影を重ね合わせながら語っていく。

 

つまり、『源氏物語』は、光源氏という主人公の物語なのではなく、光源氏という名のない存在が次々とナラティブを生み出しては複合離散していくという、物語それ自体なのではないか。

 

◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆

 

この強烈な問いかけに、シーズン3ではその後田中貴子さん、安彦良和さん、安藤礼二さん、松田行正さん、リービ英雄さんが講義を継いでいきます。特に最後のリービさんの「日本語はいつも新しい」という言葉は、塾長の結論をちゃんと「問いかけ」にしつらい直した見事な言葉です。

 

2022年、まだ画像生成AIのMidjourneyが世間を席巻していたころに投げかけられた問い。Claude、Gemini、ChatGPTの時代に日本語としるしの間を探る必見の動画です。

​

​

Hyper Club世話役・中村羯磨まさとし

 

汎座通信とは「Hyper Club」会員向けに定期配信しているレターです。アーカイブ動画の読み解きや講義の様子、舞台裏、関連する松岡正剛の思想などを、世話役・中村羯磨まさとしが書き下ろしてお届けしています。

汎座通信vol.2

Hyper Club_logo2

© 2024 Editorial Engineering Laboratory Co,.Ltd.

© 2024 Editorial Engineering Laboratory Co,.Ltd.

bottom of page